The discretion of a man deferreth his anger

; and it is his glory to pass over a transgression (Prov. 19:11 KJV) - このブログは基本的に画像処理やRTMなど技術に関することを書き連ねていきます。

プログラマ・SE35歳定年説

よく、うちの大学の2chスレなんかでも、また情報系就職な人方の間でも、こんな説を耳にする。
プログラマ35歳定年説
プログラマやSEさんの35歳定年説なんかは、コンピュータ業界が始まったあたりからずっとなもんなんですが、何故こんなことが言われているのだろうか?とふと疑問に思ったわけです。
プログラマ35歳定年説が叫ばれている理由には、幾つかの根拠があります。
(1) プログラマやSEという仕事はコンピュータサイエンスにおける労働の中の階級では一番下に位置している
(2) プログラマやSEは激務であるから体力が必要
(3) 最新知識を得るためには若年である必要がある
(4) 管理職になるとプログラマとは呼ばれない
などのことです。
割と多くの人が実は上記のことについてかなりの誤解があるのでは?と思います。
言わずもがななのは(2)や(3)なんですが、労働の態度として(1)や(4)もかなりの間違いではないかと思います。
まず(1)なんですが、確かにプログラムという『作業』で見れば、知的労働のレベルも低く、言ってみればタイプライタ的な扱いになるのかもしれませんし、またSEについても単純な『作業員』とされればそういうことになるのかもしれませんが、本来プログラマやSEという単語の中にはかなりの幅があるということですね。そして、特にプログラマ等は芸術家にも似たような感覚があり、その優秀さには雲泥の差があることです。天才プログラマなんて言われる人には、凡人がいくら努力を重ねて良くなろうが割とかなわないなんてことも多いわけです。そういった意味では、『35歳までに見切りをつける』人は多いが、『定年』とは言えないということですね。
(2)や(3)は学生が他の所から刷り込まれる間違いじゃないですかね。先の世界が分からないからそういうことを言うのかもしれないし、中には経営者がまともにこんなアホみたいな話をする人もいる。
社会的な問題ですよ。こんなことを言ってたら。そもそも体力が必要ってどこの土方ですか。確かに暗記等の作業は若年者の方が得意かもしれないが、それまでの経験から来るものなんかは確実に40を超えても使えるものばかりではないのでしょうか。
こういったことを言ってくる経営者がやってる会社だったら『ブラック』と警戒しておいた方がいいかもしれないですね(汗
いずれにしてもこの辺は知的労働というものの性格を間違った判断でのお話ではないかと思います。
(4)は実際に管理職になったりとかする人の、もしくは管理職になりたくないとかいう人の間違いかもしれないですね。学生にも良く居ます。「自分はずっとプログラミングだけやってたい」とかいう人。
いや、いいんですけどね。自分が得た知識とかそういうのを他の人に伝えたりとかしないで何が面白いんだろうかと。何が良いことあるんだろうかと。
これはある意味自分の偏見かもしれないですが、少なくとも長くやるということはリーダーシップを得ることだと思うわけです。
である以上、少なくともチームリーダーとかプロジェクトリーダーとか、普通に経験するレベルなはずです。
そして、そういった人々がプログラムをやんない…わけがないわけです。
経営者にしたって同じでしょう。日本の経営のまずいところは、現場を全然把握していない人間が経営することにあるわけで、特にIT系の場合は、自社でどのような開発を、どのような方向で行っていくかという情報を持っているのはその会社でずっとやってきた人間なわけですよね。
当然、プログラムの一つや二つ、しかも他の人より的確に組むことができる人間が、そういったポストに必要なわけです。
とすれば、確かに管理職ではあるものの、プログラマやSEではない…という判断にはなり得ないんじゃないだろかというのが自分の意見です。
とまぁ、そういった意味で、プログラマとかSEの35歳定年説は無い…と断言したいんですが、どうもそういう流れでもないようなんですよね。実際には。
(1)の反論のところでも触れましたとおり、『35歳までに見切りをつける』という人の多さなんですね。IPAの資料(http://www.atmarkit.co.jp/news/200802/18/ipa.html)などでもあるわけですが、実際に見切りをつけちゃったなんて人も多いんです。他業種に流出する数が45%にもなっているとすると、これは明らかに35〜40歳で一区切りなんですよね。
これはなんでかというと、やはりここにも適正の問題が出てくるのかもしれません。
前述の通り、プログラマやSEという職業にはかなりその適正について芸術家に近いシビアなものがあります。加えて、職場環境、低賃金などの問題もあります。上記の間違いが折り重なって、それが現実となっている以上、上記のような『変な圧力』によって35歳定年という一区切りが出来てしまっていると言っても過言ではない気がします。
また、40という不惑の年を境にして、人間自体のキャパシティを一度整理しているという部分もあるのかもしれません。労働力が流動的に動くようになった時代ですから、40=フリーエージェント年的な動きがあって、IT業界出身者は他業界と比較しても受け入れられ易くかつ重要な人材の宝庫であるということも言えるのかもしれません。
いずれにしてもこの35歳定年説、誰がどうどこで言い出したのかは不明なんですが…。今の理系、特に情報系の大学生たちが、『理系な人間』であるはずなのにこんなことをろくすっぽ調べもせず、ただただ単に喚いているという今の状況、こっちの方をどうにかしたいなぁと思うんですが…。